第14章 新たなノアとの遭遇
~マディナサイド~
ただ恐々として見つめていた。
目の前の、人間離れした人間と
アクマの戦いという現実離れした光景を。
「....危ないっ.......」
たった1人で立ち向かっていた
少女が、ついにアクマに捕まった。
全員が、少女の死を覚悟する。
「くそっ、どうなってやがる...」
ふいに聞こえた声に振り返ると。
黒髪の少年がイライラした顔で
辺りを見回していた。
1人がすぐさま縄をほどく。
私は近付くと、少年の手を取った。
「事情は後で説明するわ!
お願い、彼女を助けて!!!!」
驚いた顔をする彼が、
少女とアクマの方を向く。
「クソッ.......!!!!」
ただそれだけで現状を理解したのか、
彼は風のように駆けていった。
次は、もう1人の少女。
ツインテールの彼女は
瞳を開けた直後、
何かに引き寄せられたように
少女とアクマ、加えて少年の
ことを見た。
無言で立ち上がり、
すぐに駆け出す。
私は、驚いてその様子を見ていた。
躊躇いもせずに戦場へ
飛び込む、私の子供くらいの歳の
少年少女達。
特にツインテールの少女は
引き寄せられるように
戦場を見たのだ。
― 彼らは、人間じゃない...
そんな思いが頭をよぎる。
― 戦うことを宿命付けられた
子供達.......?
でも、村に訪れた彼らを
もてなしたとき、
彼らはごく普通の子供だった。
多少大人びたところもあるけれど、
笑顔に曇りは無かった。
こんな戦いを見ると、
同じ人間とは到底思えなかった。
不思議な力を駆使して、
異形のアクマと戦う。
黒の教団という組織は知っていた。
だからこそ、そこをあの女に
利用されたのだ。