第13章 新たな任務
「.......し、はや...」
― 何...?話してるのは誰...?
ぼんやりした意識で、
私は響く声に耳を傾ける。
「ほら、今日の売り上げを出しな」
― 女将さん...??売り上げ...
ネイのいた店の女将が
目の前で手を差し出していた。
「あんたを食わせてやってるだけ
感謝しな!!」
いつも通り、女将さんが
私の手から売り上げをひったくって
罵倒した。
そう、いつも通り―――
― いつも通り?あれ?私は、もう...
「ほら、さっさと働きな!!
働かざる者食うべからずだよ!!!」
怒鳴られるまま働きだす。
そうじをして、食事を運んで
洗濯をして.......。
「こんばんは、おじさま。
今夜、あなたのお相手をさせて
いただく****です。」
可愛らしい黒のフリルワンピースを
着て、いい歳したおやじに
愛想を浮かべてみせる。
― 違う...!私は****じゃない...!
その名前は捨てたの!!
心の中で叫んだとき、
耳にリアルな声が飛び込んだ。
「早くこいつらを殺さないと、
私達が殺される!!」
「今のうちに殺れ!!」
「早くしろ!!」
声は周りから聞こえた。
意識が覚醒した。
ぼんやり目を開く。
― 夢、だったのか...。
というより、取り囲まれてる...?
「でも!こんなに若い子だなんて
聞いてないわ!!
この子達を殺すなんて...!」
マディナの声だ。
殺す?誰のことを言っているのか
分からず、聞こうとした。
だが、体が重くてだるい。
体が軋んだ。
手が後ろに回されて、
縛られている。
― 何で私...
そこまで思って、
ハッと思い出した。
― そうだ!私達、多分
薬を盛られて.......!!!!
「何をしている。」
ようやく、意識を失う前の
ことを思い出したとき。
ガヤガヤ騒ぐ村人とは
全く違う、落ち着いた
冷たい声が聞こえた。