第3章 【02】人は見かけによらんらしい
ファンクラブの会長さんと別れ、校門に向かって歩いているはずが全く辿り着かない。
『ここどこやねん!!』
なんて苛立ったところで解決するわけもなく、立ち止まって当たりを見渡してみると、怪しい男性発見。
膝をついて四つん這いよりも小さくかがみ、茂みに向かってニャ~ニャ~と鳴いている・・・が、とても怖い。
けど道を聞くには今はこの人しか居らんから、恐る恐る近づき、声をかけた。
『あの~・・・』
「あ゛ぁ?!」
すっごい怖い顔で睨まれた!
やばい!!
けど怖くて動かれへん僕はまさに、蛇に睨まれた蛙!
やけど声かけたんは僕やし、いつまでも固まってるわけにはいかん。
『校門ってどっちですか?
今日来たとこで迷子なってしもたんです』
「校門?それなら・・」
あれ?
怖いのは最初だけで実は優しい?
目の前の彼は眉間にシワを寄せたままやけど、むっちゃ丁寧。
なんやもうちょい喋ってみたいかも。
『ありがとうございます!
ところでお兄さん何してはるんですか?』
「べ、別に何もしてねぇよ///」
あ、見られたん恥ずかしいんや。
『猫でも居るんですか?』
顔を真っ赤にしてるお兄さんを気にせず話を進める。
しゃがんで茂みを覗いて見ると、白くて華奢な猫が01匹。
『可愛い!美人さんやね』
「ふっ。当たり前だ。
この子は青学のアイドルだからな」
自分を褒められたかの如く鼻高々に話す彼。
人は見かけによらず、やわ。
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