第3章 【02】人は見かけによらんらしい
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あれから暫く桃ちゃんとラリーしたりして遊んでいた僕は、知らない女生徒に呼ばれた。
『ごめんな。また遊んで!』
「気にすんな!また明日な!」
『うん!!』
『またね!』と手を振り、鞄を持ってテニスコートを離れた。
僕を呼び出した女生徒の後をついて行くと、テニスコートから程近い、けど人気の少ないところへ着いた。
『何か用かな?』
「・・・・・」
背を向けたまま何も話さない彼女。
こわい・・・
怖くなって下を見れば黒い制服。
そうや、私はいま男や。
・・・大丈夫や、きっと。
そう言い聞かせて前を見れば、目の前の彼女も振り返った。
「麻倉 蓮くん、ですよね?」
『はい・・・』
「あなたもテニス部に入るんですか?」
『いや、僕は・・・』
「入らないの?!!」
『・・・・・え?』
彼女の問いかけの意味が分からへん。
リアクションの意味はもっと分からへん。
だってテニス部入るんか~聞かれて、入りませ~ん言うたら、お母さんに負けんくらい目ぇ見開いてビックリしてんやもん。
あと声でかすぎ。
僕のほうがビックリするわ!!
「あ!ごめんなさい。
桃城クンと楽しそうにラリーしてたから、てっきり入部するものだと・・・」
『僕は桃ちゃんに誘われて遊び
に来てただけなんです』
とっても残念そうな彼女。
・・・なんで?
『僕が入部せんかったら、何かあるんですか?』
「えぇ。。。
けどファンクラブ会長として、影ながら応援するわ!」
ショボン...と沈んでいたかと思えば、いきなりの熱意。
なんや凄い娘に気に入られたみたいやわ。
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