第3章 【02】人は見かけによらんらしい
お兄さんの名は海堂 薫というらしい。
同じ02年生やって!
そんで薫くんは猫が好きで、猫と戯れたいけど、怖がられて懐いてくれないと話してくれた。
『確かに呼ぶときの声は優しいんやけど表情が怖いわ』
「あ゛ぁ?」
それやって!怖いの!!
『もっとニッコリ呼んであげぇよ』
「ニッコリしてるだろうが」
『してへんわ!!』
思わずつっこんでしもたけど、ほんまに顔怖いねん。
『こことかここ!』と言いながら指で薫くんの眉間のシワや、両手で顔を挟んで頬の筋肉をほぐした。
『自分でこうやってほぐしてたらニッコリしてくるよ』
僕も実践しながらニッコリしてみせると、薫くんも同じように実践し、フッと優しい顔をしてくれた。
『それやん!それ!
えぇ顔してるで!』
なんて褒めるとまた真っ赤になって。
ボソッと「サンキュ」て言うてくれたんも嬉しい。
それから二人で猫に向かってニャ~と鳴いていると、たたたっと猫が薫くんのところへ寄って行った。
嬉しさに固まる薫くん。
『やったやん!』なんて言うても、今は猫に夢中。
「あぁ」と返す顔は緩みきってて、なんや幸せそうや。
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