第15章 【11.5】時として子どもは大人より残酷である
アイツ とはきっと幼馴染のことだろう。
彼がそう話してくれていたことは知らなかった。
けれど 頭を撫でたり 髪を梳いてくれることが多く
妙に納得し、嬉しかった。
自分の髪を好きになった。
けれど 目の前の彼は空いてる片方の手で
ポケットから鋏を取り出した。
「お前のことは好きやけど
アイツのことが好きなお前は嫌いや」
それは あまりに一瞬の出来事だった。
掴まれた髪を切られ、支えがなくなった頭は
また地面にぶつかる。
それらを見ていた女子たちは
新しいおもちゃを与えられた子どものように
きゃっきゃとはしゃぎながら私の髪を乱雑に切り落とし
それに飽きれば制服を...カラダを...
文字通りズタボロになった私を見た男子たちは
「血まみれ女には興奮せん」と言って
その場を去って行った。
彼が好きだと言ってくれた髪を・・・
守ると言ってくれた体を・・・
こんなにもボロボロにされて沸き起こったのは
彼に対しての罪悪感と
目の前の女子たちへの嫌悪感、憤り
なけなしの力で女子の1人の首に手をかける。
しかし すぐに横から蹴り飛ばされた。
「蓮ちゃんダメだよ!
みんなも・・・
早くおしまいにしよう?」
わざとらしく声を震わせながら話す彼女は
私を立たせると 背中を押した
「蓮ちゃん・・・おしまい、して?」
言葉と行動にはしないが そういうことだろう。
他の女子たちは理解していないのかポカンとしている。
そんな女子たちを尻目に近寄ってきた彼女もまた
女子たちには聞こえないような声量で
しかし 憎悪に満ちた表情で話しはじめた。
「私な、財前くんが好きやねん。
ずっとずっと好きで 少しでも気づいてほしくて
可愛くなる努力いっぱいしてきた。。。
同じ委員会にもなって いっぱい話しかけても
話題がアンタやないと 相手してくれへん!!
アンタの所為で・・・
アンタなんかが居るから・・・
お前さえおらんかったら・・・
・・・・・ほんま邪魔
何しても毎日来るし
前より財前くんと絡むし・・・
いい加減 自分が周りに迷惑かけてること気づけや!
ほんま・・・さっさと消えてくれ」
そう言って私の胸を一発殴ると
女子たちのところへ戻り
「1人にしてほしいみたいやから・・・」
と言い 引き連れて出て行った。
ご丁寧に鍵をかけて。。。