第15章 【11.5】時として子どもは大人より残酷である
彼女に案内されたのは屋上で
いつもは立ち入り禁止になっている
フェンスの外側だった。
そこには これまで私に
何度も嫌がらせをしてきた女子が3人と
同じく嫌な記憶しかない男子が5人居た。
イライラしてます感丸出しの人もいれば
これからのことを考えてか
ニヤニヤしてる人もいて、正直気持ち悪い。
嫌だな・・・とは思っても
ここまで来れば行くしかないことを
体は分かっているのか
自分の意思とは関係なく歩いていた。
「素直に来るとかアホちゃう?www」
「いや、もうヤられること期待してんやろww」
「それだけで済まへんのになぁ...」
私を見ながら ゲラゲラと下品に笑う女子たち。
もう どうでも良い。
早く・・・早く、帰りたい。
そう思っていると 急に後ろから
ドンッと力強く押されて 顔から地面へとぶつけた。
「ちょっと〜! 顔はダメだって!
白石君に怒られるじゃーん!」
「ご、ごめんなさい。
でも はやく終わらせてあげたほうが
蓮ちゃんも良いかなって」
「わー むっちゃトモダチおもーい」
なんて棒読みな言葉が聞こえたかと思えば
顔を上に向けるよう 髪をグッと上に引っ張られた。
「ほんま えぇ顔してるよなー」
「カラダも やろ?www」
「なぁ 今日はナニする?www」
「俺 けっこー溜まってんねんけどwww」
「俺もやわwww」
男子は ヤることしか頭にないようで
その後もどんな体位が好きかとか
どんなことやってみたいか等を楽しそうに話していた。
しかし 私の髪を掴んだままの男子は
そんな話には参加せず ジッと私の方を見ていた。
「俺 お前のこと好きやってんけどなー・・・
なんでアイツが好きなん?
なんで俺じゃないん?
・・・お前らお互い好いてんのに
本人同士は気づいてないし...
なんやねん マジで」
周りには聞こえないくらいの声量で
苦しそうな表情で話す目の前の彼は
誰だっただろうか。。。
正直 話した記憶はなく、
犯された記憶しかない。
そんな彼に好かれていたとは 到底思わず驚いた。
しかし、それを現すより先に
髪を掴む力が強まり 痛みに顔を歪めるしかなかった。
「アイツ 言うとってん。
お前の この髪が好きやって。
手入れの行き届いた、触り心地のえぇ
この髪が好きやって...」