第15章 【11.5】時として子どもは大人より残酷である
その変化に驚き、動揺したのは
私だけではなかった。
いままで 私に嫌がらせをしてきた人
それを見て見ぬフリをしてきた人たちも
みんなが あからさまにザワついた。
それでも いままで同様
嫌がらせをしてくる人は0ではなかった。
その人たちは 私が一人になった途端
殴り蹴り 暴言を浴びせてくる。
“テニス部に迷惑かけんなや”
“お前なんかが 近寄って良い人たちちゃうねん”
“頭が高い” “身をわきまえろ”
その言葉は 今まで目を背けていたこと。
けど 私が一人でいることを
気付いた彼が すぐに駆けつけてくれ
その場を収めてくれる。
そして 2人きりになったその場所で
抱き締めながら
「蓮は俺らにとって大切やから...」
という彼の声は いつも辛そうで
“迷惑かけんなや”
その言葉がより重たく感じる。
私の周りにテニス部がいることに
私も周りも少しずつ慣れはじめた頃
クラスで仲良くしてくれていた娘に
「放課後・・ちょっと、えぇかな?」
と困った風に呼び出された。
正直嫌な予感がした。
けど ここで行かずとも
いずれ行くことになるのであれば・・・
と承諾した。
その日のテニス部は練習試合の為
放課後は他校へ行くと聞いていたのに。。
放課後、この後のことを思い 憂鬱な気分で
荷物をまとめていると、彼が来た。
「これから練習試合で
隣の学校行ってくるけど
蓮は真っ直ぐ帰るんやで。
何かあったら すぐ連絡するんやで」
私だけではなく 他のクラスメイトにも
念を押すように言って、
教室を出て行く彼の背中を見送りながら
罪悪感を感じていると
入れ替わりに 私を呼び出した娘が声をかけてきた。
「・・じゃあ 行こか・・・」
困ったような表情をしておきながら
怒気を含ませた声音に
「あぁ・・・この娘もか・・・」と
妙に納得したのは今でも覚えている。