第15章 【11.5】時として子どもは大人より残酷である
その言葉は いままで意識したことがなかったが、もしかすると心の奥底では常に思っていたのかもしれない。
それくらい サラッと。
自然と声に出ていた。
自分でも驚いたが、それを聞いた先輩たちも目を見開き 驚いた様子だった。
そんな中で ガタンッッ!!!!! と椅子が倒れたような 大きな音がした。
『(あ・・・殺される・・・・・)』
咄嗟にそう思い 全てを諦めた瞬間、ギュッと力強く そして優しく抱き締められていた。
『・・・・・ひ、か・・・る・・?』
「ごめん・・・ごめんな・・・・・
俺がもっとしっかりしてたら・・・
俺がもっと蓮の側にいてたら・・」
久々に聞く彼の声は 震えていた。
「ごめんな」と連呼する度に抱き締められる力が強くなり、時折鼻をすする音も聞こえた。
不謹慎だが こんな状況ですら 愛おしく思えて、そっと彼の背中へ 控えめに腕を回した。
暫くして 彼も 私の気持ちも落ち着いたので 離れ、周りを見ると 先輩たちも涙ぐんでいたり、泣いてた。
「いろんなとこから蓮のことは聞いてる。
俺が原因で しんどい思いさせてごめんな。
俺と会う度に 無理して笑わせてごめんな。
無理してるって分かってたのに
何もしてやれんで ごめん。
蓮なら大丈夫やろう・・・って
そのうち ほとぼりも冷めるやろうって
自分に言い訳して 見て見ぬ振りして。。
ずっと 甘えてた。
前に クラスのヤツとまた話してるとこ見て
あぁ もう終わったんや。良かった。って
そう思ったのに、俺があんとき 声かけたから
また しんどい思いさせることになって。。。
俺が原因なんやって実感したら
俺は何してんやろう?って思った。
俺はどうやったら蓮を
助けることができるんやろうって。
けど 考えても全然良い案が浮かばへんくて
先輩らに相談してん。
先輩らも蓮のこと気にしてくれてたみたいでな。
せやから一緒にいろいろ考えてもろて。。
遅くなってごめん。
けど 絶対また笑顔にさせたるから。
もう死にたいとか言わせへんから・・・!!」
少し前まで苦痛で顔を歪めていた人とは思えないほど、力強い意思と必死さを感じた。