第15章 【11.5】時として子どもは大人より残酷である
その人は彼の先輩で、私も以前仲良くしてもらった人。
これから殴られるかもしれない、犯されるかもしれない。
下手をすれば殺されるかもしれない。
なのに私も狂っていたようで
『(あぁ・・・ この人は何にイライラしてるのかな)』
なんて 呑気に考えながら後ろをついて歩いた。
どこへ行くのかなんて知らない。
だが その道中も知らない人たちに転かされたり、落とされたりと嫌がらせは続く。
前を歩く先輩は振り返っては めんどくさそうに顔を歪めたのに、「ごめんな・・・」と周りには聞こえないように小さく呟いていた。。。
そうこうして 辿り着いた場所はテニス部の部室だった。
もし中に彼がいたら・・・
彼の目の前で何かされたら・・・
・・・いや 彼も私のことを恨んでるかも。
と 私の中でいろんなことが頭によぎった。
さっきの表情は何処へやら。
振り返った先輩は 悲しそうに笑って
「安心し。大丈夫やから。」
と言って扉を開けながら 私が中に入るのを待ってくれていた。
中に入ると見知った顔ばかりが7人ほど。
ユニフォームではなく 制服やから確証はないけど、きっとレギュラーの人たちやと思う。
だって あまり顔を出さないと聞いていた背の高い人や彼がいるから・・・
彼は私と目が合うと 嫌なものを見たかのように顔を歪めて あからさまに顔を逸らした。
『(あぁ・・・やっぱそうよな・・・)』
散々な目にあってきたが それでも彼だけは私の味方でいてくれる。
どこかで そう思っていた分、ショックは大きく、渇いたと思っていた涙が溢れそうになるのを必死に堪えながら、作りものの笑顔を浮かべ、口先だけの言葉を並べた。
『先輩らは私に何してほしいん?
サンドバッグにして ボクシングごっこする?
人形になるから ヤってみたかったこと いっぱいする?
何にしても 一度にこんだけの人 相手するん初めてやし、私の不手際でイライラさしてしもたら ごめんなさいね』
早く何か言って・・・と どれだけ願っても 目の前の人たちは 顔を歪めるだけで何も言わない。何もしてこない。
それが逆に苦痛で...
早く・・・
早く 何か言って。
早く 何かして。
早く 終わらせて。
早く 早く 早く・・・
『もう 死にたい・・・』
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