第14章 【11】そいつは急にやってくる
「最近どうや?」
仲良く話せる人が増えても 嫌がらせはまだ続いていた。
初めの靴箱のやつから 2ヶ月が経とうとした頃、声をかけてくれたのは 疎遠になっていた幼馴染だった。
周りに誰もいないことを確認し、久しぶりに対面する彼を見ると泣きそうになった。
けど 心配はかけたくない。
精一杯の笑顔を作って『元気やで』と答えると、誰かに見られる前にと足早に立ち去った。
やのに・・・
それすらも許してもらえへんかった。
“麻倉は嫌がる○○にまだまとわりついてる”
なんて噂が広まり 嫌がらせは急激にエスカレートした。
これまでの 王道的な流れから行けば、そのうち知らない女生徒から体育館裏か屋上に呼ばれて・・・なんて予想してたけど、その予想は大ハズレ。
教室に入れば つい最近まで会話してたコたちに、理不尽な理由で殴られるし。
階段に近付けば 後ろから押されて転げ落ちる。
驚いたのは ニコニコしながら「イライラしたら麻倉のとこ行けば好きにさせてくれるって聞いたんだけど」と知らない人から言われた言葉。
毎日が そんな風に変わっても、大好きな両親や幼馴染には心配かけたくなくて、休むことなく登校した。
そんな中で とうとう見知った顔の人が私のところへ訪ねてきた。
その人も 他と一緒。
「好きにさせてくれるんやって?」
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