第12章 【10】綺麗と腹黒は紙一重
桃ちゃんと侑くんの試合は 押しつ押されつで進んでいる。
その間にも 他のコートで試合を終えて 勝った選手が集計席へ報告に来ていた。
「Bコートの幸村対向日。6-1
で幸村が勝ちました」
『お疲れ様です!幸村さんですね・・』
Bコートのシートを出して 『幸村さん 6-1 幸村さん...』と忘れないように呟きながら名前を探していると 「ココだよ」と指差して教えてくださり、『ありがとうございます』と顔を上げたときに見た 幸村さんの顔が綺麗すぎて・・・
思わず見惚れてしまった上に 『綺麗。。』と無意識に呟いていたようで、幸村さんに ふふっ と笑われてしまったが、それすらも綺麗だと思ってしまう自分は重症かもしれない。
「僕は立海大付属中3年の幸村精市」
『僕は青春学園2年の麻倉 蓮です!』
ニコッと笑って自己紹介をすると 何故か幸村さんは一瞬驚いた様な顔をし、何故か愛おしむ様な顔で 「君とは仲良くしたいな」と呟いたのは 空耳ではないはず。
ちょっとした二人の世界に入っていると 幸村さんの身体が少し傾いた。
「僕の可愛い後輩をたぶらかすのは やめてくれるかい?」
そう言って 幸村さんの肩を軽く引きながら現れたのは 不二先輩だった。
「たぶらかしてなんかいないよ。僕は蓮と仲良くなりたいだけで、蓮もきっとそれを望んでいるよ」
「ね?」と笑って同意を求められ 『はい!』と答えたいところだが、そう答えようものなら きっと僕の命はないだろう。
だって幸村さんとは対照的に 開眼して不二先輩が居るのだから。
どう答えれば良いのかと苦笑いで誤魔化そうとしていると 「あんま苛めたりなや;」とまた一人増えた←
『侑くん!!!』
思わぬ助っ人に歓喜し 思わず抱き着きたくなる衝動を抑えるが、嬉しさが顔に出ていた様で、先にいた二人の顔は険しくなる。
また苦笑いで流そうとしていると 「蓮く〜ん!!」と また一人増えた。
「来ちゃった//」と笑う氷帝のコ。
僕はニコッと愛想笑いをしながら『うん』と応えれば 嬉しそうな顔をして 抱き着こうとしてきた。
思わず身構えるが、侑くんがさりげなく間に入り、「向こうで跡部の試合見に行こうや」と阻止してくれた。
不二先輩と幸村さんも「無理はしないで」と 頭を撫でてくれた。