第8章 【07】体験入部 初日
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今は放課後。
昼休みに大石先輩等と約束してしまった為、桃ちゃんと一緒に男子テニス部の部室へ。
いきなりのことやったから 僕はジャージもなく、今日は制服のまま 簡単なことだけをやることになった。
「麻倉先輩、これをレギュラーの先輩たちのところへお願いします!
僕は他の先輩たちのところへ行ってきます!」
『は〜い』
一年生のカチロー君に籠に入った10本のドリンクボトルを渡された。
カチロー君は倍以上数のあるボトルを他の一年生と一緒に運んで行った。
『お疲れ様で〜す。
ドリンクどーそ!』
フェンス内にあるベンチから そう声をかけると、みんな動きを止めて 休憩に入った。
一人ひとりにボトルを手渡す。
が、ボトルが一つ多かったようだ。
『あれ・・・ ちょっとカチロー君たちの方に行ってきます!』
もしかしたら、向こうが足りてないかもしれないから。
そう思い、隣のコートへ居るカチロー君のところへ向かった。
『カチロー君! こっちボトル多かったみたい』
そう言って余ったボトルを差し出し、『足りてないんちゃう?』と聞くと、カチロー君はニコッと笑った。
「それは 麻倉先輩の分です!
作るだけじゃなくて、飲んだ方が覚えられるし、休憩にもなると思って」
な、なんて えぇ子なんや!!!
『カチロー君! 君はなんて出来る子なんや!!』
「せせせせんぱい?!!」
嬉しいのと 感激したのと なんやいろんな気持ちが入り混じり(もちろん 全部プラスなやつやで!) 思わず抱きしめ、頭をわしゃわしゃと撫でまわした。
わたわたしているカチロー君は放置して(笑)
なんて戯れていると 後ろから制服を引っ張られ、強制的に引き剥がされた。と同時に、誰かに後ろから抱きとめられた。
ビックリして見上げると、そこには 僕とあんま変わらん身長の彼がいた。