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【庭球】甘酸っぱいチョコあられ【長編】

第1章 【00】期待したものと現実は違うらしい





あれから私は男子制服を目の前に、椅子に座って麦茶を飲みながらふてくされている。
お母さんはその制服を挟んだ反対側に座って、一緒に入っていた発注書やその他の書類に目を通していた。

『なぁ、はよ返品の電話してぇや』
「ちょっと待ちぃな」
『だって~・・・』

おもしろくない。
実におもしろくない。
ガ*レオもビックリするで。

でもお母さんの口元はちょっと笑ってる。
他人事ちゃうで?
自分の娘さんの話ですよー!
なんて心の中でべーっと舌を出してみたり。

一通り読み終わったのか、お母さんがこっちを見た。
「ごめんなぁ。
 お母さんのせいかもしれんわ」
と文面では申し訳なさそうだが、実際は笑いを堪えた表情のお母さんは席を立って、大事な物(仕事とか学校の書類とか)がたくさん入った棚からクリアファイルを01つ手に取り、「あぁ、やっぱり・・・」と言いながら戻ってきた。

そして

「これな、大阪おったときに青学に送らなアカンかった書類なんやけど、お母さん何を思ったんか間違って丸してしもてるわ」

見せられたら書類は、顔写真付きのもので、新しい住所やらなんやらが書かれたものの控えで、性別欄はしっかりと“男”に丸がされている。

「うちって娘やなくて息子やってんなぁ」
なんて笑いながら言うお母さん。

『笑い事ちゃうんやけど!
 どうすんの、これ!』
書類と制服を指差しながらお母さんに聞くが、この必死さは伝わっていないようで

「もう訂正すんのとかめんどくさいし、バレんよーーーーーにして☆」






・・・・・・・・・・・・・・・・。











はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!













あほですか?!
私のお母さんはあほですか?!
めんどくさいで済ましたらアカンやつやろ!

『体育どうすんの?!』
「あんた乳ないし問題ないやん」
『いや、乳あるかないかの話ちゃうやん!
 着替えでソッコーばれるやん!』
「お父さんみたいに常に黒のインナー着とき」
『トイレは?!』
「常に大や」
『いま中2やで?来年どうすんの?!』
「青学ってエスカレーター式やろ?
 そのまま上がったらえぇやん」
『高校は行けたとして大学は?!』
「そこまで隠されへんやろ」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇry』


なんなんこのお母さん


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