第5章 【04】良き笑顔は腹黒かもしれないにゃ
それからは他愛のない話した。
先輩の名前は不二周介っていうらしい。
桃ちゃんと同じテニス部やねんて!
あとは辛いものが好きとか、姉弟がいるとか。
いろいろ話してくれて、僕も同じくらい話して。
なんかお兄ちゃんが出来たみたいで楽しかった!
「ふぅぅぅじぃぃぃ!」
不二先輩の後ろの方から、赤い髪の男子生徒が不二先輩を呼びながらやってきた。
「不二、おまたへ☆」
「英二、早かったね。
可愛いコとお喋りしてたから、あっという間だったよ」
「可愛いコ?」と言われて顔と視線を僕に向けられたが、僕も分からず同じ様に首を傾げた。
英二先輩と僕は、頭にハテナが浮かんでるのに対し、不二先輩はクスッと笑ってる。
「さ、行こうか。
またね蓮チャン」
『あ、はい!
またお話ししてください!
てか僕、男ですし!!』
なんて言うてもフフッと笑う不二先輩。
え?なに?バレてんの?
・・・いや、そんなはずないやろ。
顔を見合わせただけで終わってしまった英二先輩は、最後までハテナ浮かべてたけど、「またにゃ~!」と笑顔で手を振ってくれた。
回避したはずの思考回路は、またもやショート寸前。
次は誰に会うでもなく、そのまま帰宅したのだった。