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【庭球】甘酸っぱいチョコあられ【長編】

第4章 【03】歳いったらなかなか思い出せへんらしい


その日の放課後、何の予定もない僕は久しぶりにテニス部へ遊びに行った。

少し早かったのか同じクラスの人以外は居ない。

『桃ちゃーん。
今日のメニューなにー?』
「ん?今日は筋トレだな」
『ずっと?』
「そ。ずーっと」

えぇぇぇぇぇry

『桃ちゃんとラリーしたかったのに...』
「仕方ねーよ。雨なんだからさ」

そう。
授業が終わる10分くらい前から、まさかの雨。

傘なんて持ってない僕は、遊びに行くという名目で雨宿り。
ってわけちゃうで!!焦

「蓮も筋トレしようぜ?」
『えー。僕がムキムキになったら可愛くないやん』
「お前は女か!!!」

皆でケラケラ笑っていると、他の部員も続々とやってきた。

その中に見たことのある顔があった。

「ちーっす」

えっとー・・・

どこで見たんやっけ??
と知らぬ間にガン見していたようで、その人は眉間にシワを寄せながら桃ちゃんと何か話していた。

「なんか用っすか?」

桃ちゃんと話していた彼が目の前にいた。
眉間のシワはそのままで。
桃ちゃんは横で苦笑い。

『どっかで会うたことある??』

そんなことお構いなしで、疑問に思ったことを素直に聞くと、桃ちゃんはキョトンとしていて、彼はビックリしていた。

「今日の朝と昼に会ってますけど」

そう言われてもピンと来ず、ん~・・・と考えていると、朝は通学路で会い、昼は図書室で会ったことを教えてくれた。

『あー!あんときの!!』

そこまで言わなきゃ思い出せないのかと呆れたようにため息をつかれたが気にしない。

きっと僕は彼に対してそこまで興味が無かったんやろう。


ふと周りを見ると桃ちゃんと同じ青と白の服を着た人が増えてきて、もうすぐ部活が始まる、そんな雰囲気。

『そろそろ行くわ!』と立ち上がろうとしたら、目の前の彼がしゃがみ、床に置いていた僕の手に彼は手を重ね、さり気なく立ち上がるのを抑えられた。

『え?』と思い彼を見ると、目が合った。

「俺の名前は越前リョーマ。
 今は興味ないかもしれないけど、俺のことでいっぱいになるようにしてあげるから。
 覚悟してよね」

不敵な笑みで自己紹介が終わり、すっと離れていく越前クン。

さ、最後のどういう意味や?!
てか手!!?

ポカーンとしている僕に桃ちゃんが話しかけているが、僕の耳には届かなかった。
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