第4章 【03】歳いったらなかなか思い出せへんらしい
ふわふわの綿菓子に、パステルカラーのマカロン、真っ赤で甘そうな苺の乗ったショートケーキ。
どれから食べよ~♡”
やっぱケーキかなぁ♡”
大好きなスイーツに囲まれ、選びたい放題、食べ放題で幸せな時間は、突然の背中の痛みによって終わってしまった。
「ねぇ!いつまで寝てんの?
もう昼休み終わるんだけど」
ジンジンと響く背中の痛みに眉間にシワを寄せながら身体を起こすと、小柄な男子生徒が横で不機嫌そうに立っていた。
「えっとー・・・」
「早く出てってくんない?
俺も授業あるんだからさ」
すんません。と素直に謝り参考書を手に立ち上がり図書室を後にする。
あの子どっかで見た思うんやけど・・・
どこで見たんやろ?
う~ん・・・と考えながら歩いていたら、本令のチャイムが鳴り、慌てて教室へと戻った。
そんな様子を誰かに見られているとも知らずに。
「まだまだだね」
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