第6章 その6.深入りしてはいけません
「彼女でもない柚希の面倒みてるの、あの人。」
「え?」
さっき、松本さんの質問には先輩知らないって…。たぶん顔がそう言っていたのかもしれない。何も言ってないのに、先輩が答えをくれた。
「皆の前で言うわけないでしょ、人のこと。」
「……」
私の事はベラベラ言うくせに。
ちゃんと男らしいところもあるんじゃないですか。
「あの二人は、やっかいよ」
「柚希の大野さんへの執着は半端じゃないから。」
「……」
どういう理由で二人に何があって、今に到るのかはわからないけど、なんとなくわかった気がした。大野さんが柚希さんを大切にする理由が、何かあるんだ。
「先輩、今日優しいです。」
「言ったじゃない、私が協力してあげるって。」
そう言ってまたニヤッと笑う先輩は
やっぱり心強かった。