第6章 その6.深入りしてはいけません
【・・・可愛い、こんなミジンコみたいな私なんか相手になるはずなんてない、とは思うのでした。】
「…先輩、勝手に変なナレーション入れないで下さい。」
柚希さんのいる方向を見つめ、ポケットに両手を突っ込んで立つ先輩。
大体、ミジンコみたいな、ってなんですか。
「柚希と初対面?」
顔はそちらに向けたまま、視線だけを私に落とす。
「はい…まだ、対面してませんけど…」
「毎週月曜はね、二人で会う日なんだって。」
「そう、なんですね。」
今日はその約束の日ってわけかあ。
毎週月曜はワクワクなんですね、大野さん。
「大野さん、優しいから。」
「…はい。」
柚希さんが大切なんですね。
だから優しくできるんですよね。