第6章 その6.深入りしてはいけません
「って、10秒以上黙ってられるの?」
「…たぶん5分はいけます。」
「よーい、はい」と大野さんが両手をパチンと合わせて、スタートの合図を出す。急だったので、慌てて口を閉じた。
「………」
「………」
「………」
「……ねえ、息止めてって言ってるわけじゃないんだから、そんな苦しい顔しないで。」
「…っ、はあ…、はあ…そう、でした…」
つい、息止めてました。
どうりでキツいわけだ。
「…っはは、」
「……」
八重歯を見せて笑う大野さんについ見とれてしまった。
「ほんとだ、元気になったかも。」