• テキストサイズ

片思いの終わらせ方

第6章 その6.深入りしてはいけません










「…大野さん、いつも私の話聞いてくれるじゃないですか。」

「そう、だっけ?」

「はい、ちゃんと聞いてくれます。疲れてても。」

「へえ。」

「…私、下手くそかもしれないんですけど、聞きます。ちゃんと黙って聞くだけ出来ます。」

「うん?」

「…だから小さなことでも、タンポポ咲いてたとか、犬欲しいとか。何かあったら、言って下さい。

あ、の、話かけなくていいんです。私のこと、ぬいぐるみくらいに思ってくだされば、ただ聞くだけなら出来ますから!」

「……俺、タンポポとか犬とか言わないけど。」

「な、なんていうか、物の例えです。」

「…、俺のぬいぐるみになるの?」

「あ、いや…それも物の例えというか、」

「じゃあ、何になってくれんの。」








大切な人になりたいです。
なんて言えない。






たぶん難しそうな顔をしていたんだと思う、私を見た大野さんが、虐めてごめん、と言った。



「大野さん、…どうでもいいことって誰かに話すと意外とスッキリするんです。」



「…へえ、知らなかった」と大野さんがまたボソっと呟いた。その横顔が綺麗でなんだかまた切なくなった。


こんなことで大野さんが元気になるとは思わないけど、せめて一人で悲しい目をさせたくない。









/ 170ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp