第1章 その1.目で追いかけてはいけません
はい、とその素敵な人からいっぱいの袋を渡される。
「え!?いや、頂けません。」
私が財布を取り出すとすぐに止められた。
「いいの、俺が悪かったし、
それに俺、可愛い子には優しいから。」
プレゼント、とニッコリ微笑むその人に心臓をわし掴みにされたような衝撃が全身に走る。
「か、可愛い子…」
落ち着いて、私!
こんな素敵な人がいるわけない。
夢よ、夢!これは夢だ。
私の異変に気づいたのか、ずっと黙っていた有稀がその人の前に出て口を開いた。
「では、遠慮なく頂いておきますね、先輩。」
「あれ、1年生なの?大人っぽいね。」
「あ、よく言われます。」
「へえ、同じ匂い。」
「あら、光栄です。」
この二人、なんか雰囲気が似てる気がする。
美人なとことか、余裕があるとことか。