第4章 その4.その人に逆らってはいけません
「ご、ご飯一緒に食べてくれました。」
あの後、泣かせたお詫びと言って大野さんが好きなカレーライスのお店に連れて行ってくれた。
私が泣いたのは大野さんのせいじゃないのに。
俺だって、パンばっかりじゃないよ、と笑う大野さんが可愛くて可愛くて、お腹も胸もいっぱいになった。
毎日大野さんと一緒だったら
どれだけ楽しいんだろう。
昨日の幸せなひと時を思い出していたら
悪魔の声で現実に引き戻された。
「は?飯?飯だけ?で、親展?」
話す度に鼻で笑うような笑いをイチイチもらす。人を苛つかせることにかけては先輩の右に出るものはいないと思う。
ばかみたい、また先輩の言葉に反応して悲しくなる。なんで先輩はこんなに意地悪なんだ。
「・・・」
だめだ、黙ったら負けだ。
グッと、溢れそうなものを飲み込んだ。
私を二宮先輩から守るような体制(すごく自分にいい表現を使ってしまうことをお許し下さい)の大野さんが私を見て言った。
「はい、これあげる。」