第4章 その4.その人に逆らってはいけません
「お、大野さん!」
大野さんの方を向いた二宮先輩の力が緩んだのを見逃さなかった私は、先輩のテリトリーから逃げ出して大野さんの元へ駆け寄った。
「ちょっと、大野さん、
それどういう意味。」
二宮先輩がその場から立ち去ろうとする大野さんに絡む。
「そのままの意味、」
大野さんが二宮先輩に微笑む。
「、飼い主は私でしょ?」
「………」
「おい、無視するな。避けるな。遠くへ行くな。」
「大野さんが近寄らない方がいいって、」
クソッ、と言った二宮先輩が私に仕返しをするように、話題を大野さんに振る。
「大野さん、と進展があったそうですが?」
「・・・親展?なにそれ。」
ポカンとしている大野さん。
「あ、いや、何でもないんです、大野さん。」
「、大野さんは親展だなんて思ってないみたいね。」
先輩がニッコリと嬉しそうに微笑む。
うっ・・・また私のキツイところをえぐってくる。