第4章 その4.その人に逆らってはいけません
唇をへの字に曲げて言い切ると、
二宮先輩が私を壁に押しやり物凄い顔で迫ってきた。
そのとたん周りの女子から「きゃあ!」と言う悲鳴があがる。いや、違う、違うんです。この顔見てください、私は被害者なんです!
この人を下に見下すような非人道的な目。見せたい。姫君たちにこの男の鬼畜さを見せたい。
「は?なにそれ。聞いてないんだけど。
俺の知らないとこで勝手に親展なんて何様?」
「あ、いや、近いです、離レテクダサイ。」
二宮先輩から顔を背けて一生懸命逃げようとするが、その努力も虚しく、グッと力を入れられ向け出せない。ボソボソした声で誰にも聞こえないようにドスの効いた声色で言葉を続ける。
「ああ?誰のおかげで親展できたと思ってんの?
え?言ってみ?二宮様だろうが。」
ひ、ひぃいいいいぃいっ
こんなとこで俺様出すのですか!
二宮先輩に捕まって何も出来ずにいると
「もうニノには近寄んない方がいいんじゃない?」
と怯えた私を救い出してくれたその人。