第3章 その3.素直に信じてはいけません
先輩からの情報は軽くショックな内容だった。「大野さんには大切な人がいるという事実」。まさか落ち込む情報をくれるなん、てあの人本当に応援する気あんのかと、今更になって疑い始めた。
「遊んでるだけでしょ。」
有稀が頬杖ついて不満げに言った。
「あ、やはりそう思います?有稀さん。」
「ああ、おおいにね!」
はあ、とため息をつく。
「大野さんね、辛い恋してんだって。可哀想。」
「なんかもう、私はあんたが可哀想だ。」
「え、なんで。」
「なんか、なんていうか、・・・不憫。」
「ふ、不憫って!
有稀、私は大野さんが辛くなければ
それでいいの。
だからもっともっと仲良くなりたい。」
「…うん、その考えが不憫。」
「ゆ、有稀さん…!」
「うそうそ、」
そう言うと有稀は「頑張れ」と優しく笑った。
ふふっ、やっさしーなあ、有稀ちゃん。
と物思いにふけっていると(格好つけてみました)タイミングよく大野さんを発見。
「有稀!さっそく行ってみる…。見てて!私、不憫な子じゃないよ!」
私は有稀に一言言って、もうスピードで大野さんを追いかけた。
「はいはい、
っていつの間に積極的になったのよ。」