第3章 その3.素直に信じてはいけません
大人しく先輩の隣に座ると
突然2年生の授業が始まる。
「え、まずいですよ先輩。」
「大丈夫だよ、やらしいことしてても
ばれなかったから。」
あなた、授業中に何してるんですか。
「あ、何?にはしてやんないよ?」
ニヤつく先輩が私を舐めるように見る。
いやああああああ!変態!セクハラ!
「ばばば、ばかじゃないですか!」
恥ずかしくて、つい大きな声が出てしまった。
両手で慌てて口を塞いでも、もう遅い。
「そこ!何ですか!私語は慎みなさい!」
先生がこちらを見て注意すると
「あなた、この問題解きなさい!」
と黒板に意味のわからない文字を書かれた。
わ、わかるわけありましぇん!
泣きそうな私に先輩が大丈夫、と言って立ち上がり教壇の前に立ち黒板にスラスラ文字を書き始める。
「・・・はい、ミスター二宮、素晴らしいです。」
そう言われて先輩は私の隣になに食わぬ顔で座った。
「何語ですか、あれ。」
「フランス語。」
「先輩、頭いいんですね。」
「頭も、ね。」
確かに今の先輩は格好良すぎて何にも言えなかった。