第3章 その3.素直に信じてはいけません
「そおだ、大野さん、お昼食べました?」
「いんや、まだ。なんかいいのあった?」
「新発売の、ありましたよ。なんかあの
チョコレートのやつ。」
「チョコかぁ・・・俺チョコ系あんまし。」
ふむふむ、大野さんはチョコ△。
手帳サイズのメモ帳に記入した。
て、ことはバレンタインはチョコ意外、
なんて考えていると
「なにこれ、」と手帳の中身を見られた。
「だだだだだダメです!
それは乙女のマル秘データなんです!」
「まるひでーた?」
大野さんが首をかしげる。
「あ、いやその・・・
秘密のことが沢山書かれてるんです。
だから返してください。」
両手を前にだし頭を下げると、
はい、と大野さんはすんなり返してくれた。
見られちゃうかと、思った。
「じゃあそれ、言いたくなったら
今度教えて。」
「はい?」
「の秘密、一個ずつ。
俺、無理矢理は好きじゃないから。」
「は、はい。」
ニコッと優しく笑う大野さんにキュンとなる。
大野さんになら、無理矢理でも何でもいいのに。
あれ?大野さんって、こんなに笑ってくれる人だったかな。少しずつでも私に心を開いてくれてるのかなと思うと、嬉しくなった。
「あ、でも秘密って言ってもそんな大したことじゃ・・・」
「そうなの?」
「はい、一番大きな秘密は体重くらいです。」
「ん、じゃあ今度会ったらそれ。」
「え、いきなり一番大きい秘密
言わなきゃいけないんですか。」
「うん、だって嫌いなものは、とか
どうでもいいもん。」
「ど、どうでもいいって・・・。」
ふふっと、大野さんが笑った。
よし、次会ったときの体重は
マイナス5キロで言っておこう。