第3章 その3.素直に信じてはいけません
すると後ろにいた今日も眠たそうな大野さんが私と目を合わせて口を開いた。
「俺呼び捨て。」
「お、おお大野さんはいいんです!
そのまま呼び捨てでお願いします!」
なんてったって私を助けてくれた恩人だ。神様だ。クリームパン様だ。
「あ?何それ。なんで大野さんはいいのよ
おいコラ、泣き虫、答えろ
今すぐわかるように説明しろ。」
「二宮先輩…、
ほんといいのは顔だけ、ですね。」
「うっさいわ。それ褒め言葉だわ。」
「え?なに?なんでそんな仲良しになってんの?」
櫻井さんが笑いながら私と二宮先輩を交互に見る。
「「仲良しじゃ」」
「ない!」
「ありません!」
みんなが驚いたように目を大きくする。
「私は前の二宮さんより、今の方が好きですけどね。」
有稀がまた強気な態度で先輩に喧嘩を売る。
「あれ、有稀ちゃんも俺に惚れたの?」
「ない、ぜってえないから。」
「あなたの言葉遣い、男は引くからね?」
「先輩の女好きには女も引きますよ。」
始まった、凄いバトルが始まった。火花の散る言い争いをしている二人をほっといて、私は大野さんの元へ駆け寄った。