第2章 その2.勘違いしてはいけません
「あ、ちゃん。」
二宮先輩が私の知らない女の人と腕を絡めたまま私の名前を呼ぶ。
「誰ー?」
「ん?ちゃん。」
二宮先輩は隣の女性にまるで友達でも紹介するように、簡単に私の名前を言った。
「・・・せ、んぱい、どなたですかお隣の・・・。」
「ん?」
「え、私?五花です!」
二宮先輩に聞いたのに「五花さん」が答える。
何も言えない私に、二宮先輩はまた可愛い笑顔を向ける。
「どうしたのちゃん、
可愛い顔が台無しだね。」
二宮先輩の言う『 可愛い 』は魔法の言葉だったのに、今日は全然違う言葉に聞こえる。
先輩が、何を考えているのか
全くわからない。