第9章 その9.自分だけ、ではいけません
二宮先輩のおかげでなんとか輩が居なくなると、柚希ちゃんが本性を全面に出す。
「私、和也くんのものになった覚え、ないんだけど。」
「あ、柚希、やっと本性出した感じ?」
「なに、なんで嬉しそうなの。」
「いや、前の柚希まあじで気持ち悪かったもん。本性知ってる俺としては。」
「は?気持ち悪いとか言われたことないんだけど。」
「あら、俺が初めての男?」
「和也くん、親父臭い、」
「ちょっ、!この子今私のことオヤジって言ったよ!ちゃんと言ってあげて!二宮くんはモテモテだよーって!」
「……どうせ、」
「「……は?」」
「どうせ私なんてミジンコだもん。」
柚希ちゃんみたいに可愛くないし、二宮先輩みたいに格好良くないし、モテないし、ウザいし、跳び箱跳べないし、パンばっかり食べるし、だから最近少しだけ体重増えたし、どうせミジンコだから、何でもいいんだもん。
「…お前、拗ねてんの?」
「まじウザい。」
「…落ち込んでも冷たい!」
「しょうがないよ、持って生まれたものじゃん。」
「そうそ、柚希の言う通り。所詮。」
「……あなた達の前で落ち込んだ私がバカでした。」
柚希ちゃんが鼻で笑う。
「、あんたってほんとバカだ。」
「い、言わなくていいよ。」
「柚希、はバカだよ。」
「せ、先輩まで。」
「和也くん、私の周りにはこんなバカ居ないんだ。」
「…柚希さん、わたしだってね、」
「だから柚希、こいつの前では気張らなくていいでしょ?」
「うん、…そう、かもね。」