第9章 その9.自分だけ、ではいけません
「……マジで来たの?」
両手いっぱいに買い物袋を持つ柚希ちゃんが、あからさまにゲンナリした表情を浮かべる。
「マジで来たよ?さっ、いざ参ろう!」
「誰だよ。」
本当の柚希ちゃんと話すのはこれが2回目なのに、そんな気がしないのは、きっとあれだ。
「柚希ちゃんって二宮先輩と似てるんだ。」
私の言葉に柚希ちゃんの顔が、また歪んだ。
「は?やめてよ、」
「ほらあ、ツンデレ。」
「は?気持ち悪いんですけど。」
二宮先輩以上にバシバシと直球を浴びせてくる柚希ちゃん。
「柚希ちゃん、私も人間だから傷つくんですけど。」
「ミジンコのくせに。」
「ほら!そういうとこ!無駄に記憶力良いよね!」
「…ああーもう!うるさい!
今日だけだからね!明日は絶対来ないでよ!」
「あ、柚希ちゃんってパン好き?」
「…………まあじで疲れるんですけど。」