第9章 その9.自分だけ、ではいけません
おじいちゃんが亡くなってから
ほとんど人の来なくなったこのお店。
今となっては扉の開かないこのお店。
そんな店でなぜ
私は毎日を過ごすのだろう。
そんな意味のないことを考えて
なんだか今日は凄く疲れた。
でも今日はそれだけじゃない。
会いたくない人が店の前にいたせいで、どっと疲れた。なんならあの性格のせいで疲れた。そして明日も来ると言われて、明日が来ていないのに明日の分も、もう疲れた。
ほんとに私と関わるのはやめてほしい。
これ以上私に近づかないでほしい。
これ以上、
智に近づかないでほしい。
もう疲れすぎて今日は早めに店を閉めようと思った時、カランコロン、と扉の開く音がした。