第1章 その1.目で追いかけてはいけません
先輩がこっちを見てる…?
そんなバカな!
あまりにもサラッと言うから驚いて窓から身を乗り出した。窓から顔を出すと、先輩と大野さん、いつも一緒にいる3人がグラウンドから上を見上げるようにして、丁度うちのクラスを見ている。
な、なんで先輩と目が合ってるの。
なんで皆こっち見てるの!
「な、んで」
グラウンドの先輩が私に向かってブンブンと大きく手を振る。
なんで、なんでなんでなんで!
イヤ、なんで!
「落ち着け、。湯気が出てるから。」
混乱状態の私の腕を有稀がガシッと掴む。
そのお陰で我に帰ることが出来た。
「…あ、ありがとう有稀さん…、
し、死ぬとこだった…。」