第7章 その7.鵜呑みにしてはいけません
「じゃあ…毎週月曜日に柚希ちゃんと会ってるのは…」
「うん、ここ、バイト。」
「柚希ちゃんもここで?」
「うん、ゆずのじーちゃんがやってた店なんだけど、最近他界して。誰もいないから今は俺がほとんど毎日入ってる。」
「だからあなた、最近顔見せなかったんですか?」
うん、ごめん、と大野さんが先輩に謝る。二人の視線に私が入ることはなくて、しばらく見つめ合うと大野さんがまた口を開いた。
「…わかってる、」
「ほんとにわかってんなら、」
二宮先輩が少し大野さんの言葉に被せるように言うと、そのあとの言葉は続かなくて。
先輩はそれ以上何も言わなかった。
「大野さん、」
「ん?」
「私、知りたいんです、大野さんと柚希ちゃんに何があるのか。大野さんが時々する悲しそうな目の理由とか。」
声が震えた。
だって、また拒否されたら私、
立ち直れそうにない。
うつむく私の代わりに二宮先輩が話す。
「いつまでには関係ない、
なんて言えるんですか?」
「……」
「関係なくさせてるのは、自分でしょうよ。」
「せ、先輩…?」
いつも余裕のある先輩が、まるで責めるような口調で。
でも、なんで大野さんを責めるのかわからなくて。
「…、俺とゆずはね、」
言いかけた時に扉の鈴が音色を奏でた。