第7章 その7.鵜呑みにしてはいけません
「智、遅くなってごめ……」
スーパーの袋を両手いっぱいに持つ柚希ちゃんが、肩で扉を押す。目の前に映る私達の光景に、一瞬止まった。それは驚いただけの顔ではなく、柚希ちゃんの瞳の奥には何か違和感を感じる。
でもその違和感は一瞬で、またすぐにいつもの柚希ちゃんに戻る。
「えっ、なんで!なんでちゃんと和也くんがいるのー?珍しい!」
嬉しそうに笑う柚希ちゃんに、さっき見た顔は見間違いだったんだと思った。
「智が、呼んだの?」
一瞬空気がピリッとする。
なんだろう、また感じるこの違和感。