第7章 その7.鵜呑みにしてはいけません
「ほらっ、大野さん、コーヒー2つ!」
「…はいはい、」
私達はカウンターに腰掛ける。目の前には馴れた手つきでコーヒーを入れる準備をする大野さん。豆をひく大野さんの指が綺麗で、目が離せなかった。
厳かな雰囲気の中、二宮先輩が口を開いた。
「大野さん、今日は一人なの?」
「うん、…って
二ノはそれ知ってて来たんじゃないの?」
「あ、バレました?」
「いつもはどなたかいらっしゃるんですか?」
大野さんに尋ねると
「うん、ここ、ゆずの家がやってる店なんだよね。」
そう言ってまた切ない顔をする。
大野さんのその、悲しい目はなんですか。