第9章 『家族』
私は一体人間なのか?
陰陽術を使い、身体からは人外のものを惹きつける香りを出す。
子供の頃はこの力のせいでイジメにも合った。
でも、自分が人とは何か違うことを感じていた私はそれを受け止めた。人は異なるもを拒絶する。
子供の頃は両親も生きていた。
何より父親が陰陽師としての力を持っていた。力と言っても私のように戦える程の強さも無く、一般人とさして変わらなかった。
それでも、私にとっては唯一の分かり合える人だった。
だが、両親は殺された。
止めは人間だが、原因は喰種。
私はどっちも恨んだ。
どっちも居たらいけないんだと思った。
その場に居た喰種を殺した。
それから両親へと駆け寄ったらもう2人は目すら見えない状態だった。
そして父親が小さな声で私は言った言葉が今でも私を人として繋ぎとめてくれている。
ただ一言
『お前は1人じゃない。だから誰も恨むな。』
その言葉でなんとか理性を引き戻せた。
一言残して直ぐに息を引き取った2人の魂を確かに私は近くに感じた。それは今も。
私の家族は目に見えないけど温もりだけは感じられる。だから1人でここまで暮らせた。
それに今は立場は違うけど異なる者との狭間で揺れる人を見つけた。私はこの人を助けたい。
私みたいに1人では悩まないで済むように。
これも…私の罪滅ぼし…いや、エゴなのかな。
そんなことを思いながらベットにいた私は知らず知らず眠りへと落ちていった。