第2章 『出会い』
さて、場所が移って今はサークルの活動をしている部屋の前だ。
私たちはドアをコンコンとノックして部屋の中に入った。
「ちわっス!西尾先輩」
「こんにちわ〜」
「やっと来たか永近、安部。お前らが前に言ってた資料そこにあっから好きに持ってけ」
中にいた人は私たちに背を向けたままそう声を返してきた。
「先輩、つい最近まで入院してて来れなかった金木君連れてきたんですよー!」
と言っても一向に向いてくれる気配がないので、私は西尾先輩に『早くこっち向けよ』と呼びかけてやっと振り返ってくれた。
そして何故だか金木を見ておもむろに立ち上がってこっちに近づいてきた。
「…へぇ、お前が金木か。よろしくな」
金木の目の前まできてわらった。
金木は理由はわからないがそんな西尾先輩を目を見開いて凝視していた。
その表情は驚きよりも恐怖に彩られていた。
「え?ちょっ金木、顔真っ青になってるよ!大丈夫?」
・・・病み上がりだからまだ色々本調子じゃないか
「うん、大丈夫。少し立ちくらみしただけだから」
金木は青白い顔のままそう言った。
「先輩の顔が怖いんスよ」
「あぁ?うるせぇよ。
それより永近、資料なんだけどよ〜何個か家に置いてあるんだわ。
だから今日取りに来てくれね?」
「え、今日っスか?んー」
先輩に言われ永近は「うーん」と考えこんだか最終的には行くことに決めたようだ。
するといきなり
「ぼ、ぼくも行っていいですか…!」
と、言い出した。
「さっきまで顔色悪かったのに大丈夫なの?」
「う、うん。もう大丈夫」
私は今だに顔色が優れない金木を見て「私も行っていいですか?」と聞いた。
「陽菜も来んのか? そんな大勢で行ったら先輩に迷惑なんじゃ…」
「いいぜ、別に。どうせ中に上げる気はねぇし」
ということで、私たちは西尾先輩の家に向かうこととなった。