第7章 『宿泊』
「ごめんね、急に押しかけて」
「僕は大丈夫だよ。
それより陽菜ちゃんの方こそ大丈夫?
あの後に喰種に襲われるなんて」
(ちゃんと送っていれば…)
「そんな青い顔しなくても無事だって!平気平気!
私からしたら喰種に襲われることなんて日常茶飯事だから慣れてるし」
私は顔を青くして心配そうにしている金木に対してクスクス笑った。
少し笑われたことにブスッとした顔になったが、まだまだ心配なのには変わらないようでじーっとこっちを見てくる。
「でも なんで陽菜ちゃんが襲われる事が日常茶飯事なの?」
「ああ、言ってなかったっけ?
私の身体はね妖や喰種からすると美味しそうな匂いがしてるんだよ。
そして、その肉は果実のように甘くて美味しいって伝えられてる。
だから私の身体について知った者や匂いにつられた輩に襲われるってわけ」
私は勝手にキッチンを借りてコーヒーを淹れながらそう答えた。
しかし金木はあんまり理解してないようで「そんな匂いはしてないよ?」と、首を傾げている。
「それはね、自分の術で匂いを隠してるからだよ。
そんなの撒き散らしてたら私休む暇がなくなるからね。」
そう説明してもイマイチという感じなようだ。