第5章 『食事』
今は金木と一緒に「あんてぃく」に向かっているところだ。
それと、大学に行った時に西尾先輩が来ているかどうかを私は金木に黙って確かめてみたら、やっぱり先輩は大学に来てはいなかった。
あれだけ金木にボロボロにされれば幾ら喰種といっても無事では済まないだろう。
そんな西尾先輩が誰彼構わず人間を襲っていないことを私は祈った。
「ねぇ、金木君。…今、緊張してる?なんだか様子がおかしい気がするけど?」
(もしかして、お腹空き始めてる…?)
「え?そう?…うーん、そんなことは無いと思うんだけど、初めてのバイトだからかなぁ」
(本当は、練習がちゃんと出来るか心配だけど…やっぱりついて来てくれてよかったかな、1人じゃ心細いや…)
「なるほどね〜、いきなり接客業だしね!
ウエイトレスしてる時にコーヒー落とさないように気おつけなよ?」
(私の杞憂かな…ならいいんだけど)
「わかってるって!」
(僕のことを見捨てないでくれてありがとう……陽菜ちゃん)
そうこうしている間に私達は「あんてぃく」までやって来ていた。
カランコロン
入口をゆっくり開き、金木に続いて私も中へと足を踏み入れた。
ここに、客以外として入るのは初めてだ。
「…正体が暴露た状態で、しかもこんな形でこの店に入る何て想像してなかったよ」
(…これからは、人間としてじゃなく陰陽師として入店、って感じかな?)
先に入っている金木や中の人たちに聞こえないぐらい小さな声で呟いた。