第4章 『正体』
「…っ」
(ここは…どこなんだ?)
ガチャ
「目が覚めたかい?」
扉から金木もよく知るマスターが姿を現した。
「ここは…『あんてぃく』ですか」
ほとんど確信しているようだが金木の目は不安に彩られていた。
「そうだよ。金木君、何処か痛むところはあるかい?」
マスターは穏やかな口調で問いかけた。
「な、何もないです…。何もなさすぎるんです。
さっきまであった“飢え”も“空腹”も感じられないんです!!
一体、何が…」
「その理由は君が一番わかっているだろう?」
「っ!」
マスターのその一言に金木は息を詰まらせた。
そして、金木は口を手に入れ、胃の中のモノを吐き出そうとした。
そこに、
「待って、そんなことしないで」
その声は扉の影から聞こえた。
「その声は…陽菜、ちゃん…?
どうして、こんなところにいるんだ?!」
声でそこにいるのが私だとわかると目を見開き、大きく動揺していた。