第3章 『目撃』
「あー!なんだか良い匂いがすると思ったらたい焼き売ってますよ!」
「あ? あぁ、そうだな。たい焼き奢ってやるよ」
「マジですか!あざーす」
「やった!ありがとうございます」
私と永近はお金を貰い、4個たい焼きを買ってきた。
とても美味しいたい焼きだったが体調が優れないのか、金木はひと口もつけずに鞄に詰めていた。
私たちは再び先輩の家を目指して歩いていたら先輩がいきなり私に「金渡すからちょっと飲みもん買ってこい」と言われた。
出発前は中には入れないと言っていたはずなのにどうしたんだろう?と思ったが取り敢えず買いに行くことにした。
「で、先輩は何がいいんですか?
それと、後の2人も」
「俺は珈琲でいい。ブラックな」
「俺はコーラで!」
「ぼくもブラックコーヒーでお願いします」
「了解!
先輩、買ったら何処に向かったらいいですか?」
「そうだな。俺の家があそこに見えるアパートだからそこに来てくれ」
私は先輩が指差した建物をしっかり確認した。
「わかりました」
この時の先輩の口は笑っていたが、瞳の奥にケモノのような狂気がちらついていた。