第2章 ポッキーゲームにルールはない 安倍蒼世 学パロ甘
放課後、誰もいなくなった教室
夕暮れの日が差し込んで全てを温かにする
貴方と二人
このオレンジ色の空間に包まれる
-ポッキーゲームにルールはない-
「蒼世ー。隣に座って!」
3年生の教室
部活に行く者もいれば帰える者もいる
教室で暇を持て余すカップルもいる
それが安部蒼世と琉璃だ
彼女の方は自席について鞄から取り出したお菓子を机に広げている
蒼世は、そんな彼女を見ては美味しそうに頬張る姿を呆れた様子で見ていた
そんな彼女がポッキーの箱に手をかけた時、とあることを思いついたようで彼を呼んだ
「どうした…。それよりも、よくそんなに甘い物が食べられたものだ」
「好きなんだからしょうがないじゃーん?」
なんだかんだ言っても彼女の言うことに付き合う蒼世
惚れた弱みというやつかと内心常にそんなことを考えるのだった
しかし大量のお菓子を目の前にして、つい本音が出る
眉を潜めて凝視していた
彼女はお菓子好きで常備しているほどなのだ
軽ノリで言い返すとニコッと笑いチョコレートを一つ口に入れた
ただ幸せそうに食べているところは見ていて悪い気がしない蒼世
「それよりさ。それよりさ、蒼世!ポッキーゲームしよ」
箱を持ち上げ彼に見せつけるようにする
それを開けて袋を取り出す
チョコレートがかかった細い棒を一本取れば説明をし出した
「端と端をくわえて、ポッキーを食べていくの!最後までだよ?やってみよー!」
早速、琉璃はポッキーの端をくわえて嬉しそうに微笑んだ
長くてぶら下がっているポッキーを指差して彼女はワクワクしている
そんな彼は冷静に隣の席に座り言われた通りにポッキーの端をくわえた
こういうことは、あまり好きそうではない蒼世だが少し不思議そうに考えている彼女
とりあえずやってみようと思うが、なんだか無償に恥ずかしくなってきたのだった
-サクサク
数秒地道に食べ進める琉璃だが彼が急に手を伸ばしてきて
チョコレートが、かかっている部分を指でつまんでボキリ
彼女の思考が真っ白になった
そう思ったら二口、三口で食べ終わり残った私のくわえていたポッキーにも手を出してきた
「ん…!」
お菓子より甘い物
それが口に触れてきた
私は吃驚して暫く硬直してしまう
そして蒼世は口を離すと、ふっと笑った
「ポッキーゲーム…まぁ、悪くない遊びだな」