第5章 素直になれない原因は君の兄 曇宙太郎 甘?
キラキラしていて曇りのない目
嘘をつけない性格
元気で素直すぎる君
いいところだらけなのに気に食わないところが一つある
-素直になれない原因は君の兄-
「天兄は本当にかっこいいっス!!この前だって一瞬で罪人を捕まえたんスよ!」
宙太郎はいつも私の前に来ると兄自慢を始める
よっぽど兄貴のことが好きらしい
本当にこれは、どうにかしてほしいくらいだ
「世界で一番っス!!本当にいつか天兄みたいに強くなりたいっス!」
「あっ、そう」
私はこういう時、軽くスルーすることに決めている
最初は本気で聞いていたがこれが毎日となると、どうだろう
流石に誰でもスルーするようになるのではないか
それに世界で一番と言われたのが気に入らない
では私の位置はどこなんだと言いたくなり腹が立つ
「相当ご立派なお兄様ですこと」
「当たり前っス!本当に、本当に尊敬してるんス」
棒読みに近い状態で言っても彼は私の気持ちなんて気づかずに
兄を褒め称える
正直、宙太郎の兄に嫉妬している
だからもし私がその兄に会ってしまったら睨むしか考えられない
一向に話が終わりそうにないのでため息をついた時
「天兄はかっこいいっスけど、琉璃は可愛いと思うっス!」
「え?」
屈託のない笑顔で、そう言い照れたように笑う
私は聞き違いではないと分かれば顔が赤くなった
正直すぎる人のこういうところが困ると赤くなった顔を手で隠した
「バカ…本当、宙太郎は頭がバカだよね」
「な、なんですと!!ば、バカじゃないっス!勉強もちゃんとやってるっス!」
そういう意味ではないと内心思いながらも直視出来ずにいる
他人に言われたことを真に受ける辺りが本当、素直過ぎる証拠
「私を妬かせるな。バカ…」
そう言った瞬間、目が白くなって非常に驚いた顔をして
「焼いてないっすよ!?確かに罪人は、ちょっと燃えてもいいかと思うけど」
「意味が違う!!もういい!本当、学校一バカだね」
その後は、ギャーギャーふたりで騒いでいたけどそれがとても嬉しかった
そんな宙太郎が私の気持ちに気づくのはいつの日か
今は笑ってるだけでいい
「じゃ、今度のテスト勝負するっス!」
「おー負け戦を仕掛けてきたか。本当バカ」
「きいぃぃ!絶対勝ってやるんスから!」
拝啓 宙太郎様
貴方のその真っ直ぐさに惹かれ恋に落ちました