第3章 記憶の断片、笑顔の破片 金城白子 現代(学生時代有)切
君の葬儀に参列する
向こうでは彼女と親しかったであろう女子生徒が彼女の名前を呼んで泣いている姿
少し遠くから見る彼女の写真、いつもの笑顔でいた
俺の前にいる時くらいの輝かしい笑顔
そこから表情を変えることはせずに何処かを見て永遠に笑い続ける少女、琉璃
君は俺を、まだこんなにも惹きつけるのか
魅了するのか
棺の中で眠る君に合わせる顔なんてない
それは俺が怒っているからじゃない
ただ、ただ…
君が恋しくて、どうになってしまいそうだから
「あぁ、どうすればいいか、ようやく分かった。俺は君に言ったね…」
-泣きたい時は、泣けよ
その言葉が蘇ってきた俺の目からはとめどなく涙が溢れてきた
同時に君の笑っている笑顔、苦しい時や本気で笑っている時両方が脳内に映し出される
その場で顔を隠して泣き続けた
声にならない叫びとなって君に伝える
本当に馬鹿だよね
悔やんでも悔やんでも
もう戻らないのに
まだ目の前に出てきてくれるような気がしてならないんだ
琉璃…
助けてやれなくて、ごめん
それでも好きでいる俺を許してくれる?
君を愛する俺を受け入れてくれるかな
何年経っても、この思いは変わらないよ
罪を背負って歩き続ける
だから君は、そこで笑っていてほしい
自由になって痛みから解放された身でいてほしい
「お願い。どうか彼女に安らかな眠りを、永遠に…」
涙は止まることを知らないように流れ続ける
何かが吹っ切れたようにして次々と頬に伝う
喉の奥が苦しくて、ただ泣くことしか出来ない
君に花を送ろう
この世界で君が夢見ていた花の園を
いつまでも絶えることないこの思いと一緒に
空は嫌な程、晴れていて相応しくない天気だ
俺はそれでも天を仰ぎ見た
拳が握らる、俺の苦しい時の癖
それでも俺は君のために
生き続ける
墓場にお参りに行く時は花を持って
心でそう決めた
好きだった花を手にして君は幸せかい?
好きな花に囲まれて幸せかい?
風が吹く
制服が揺れて白いシャツが波打つ
嫌な程、まぶしい
だけど
「こんな日がお似合いだね。君には」
何を問いかけても君は口を開かない
笑ったままだ
俺は、静かに目を閉じて微笑み返した