第4章 久しぶり
『別に良いよ。私も一人で暇だったし。』
黄瀬
「…ご家族は、出掛けてるんスか?」
『ううん。今一人暮らししてるの。』
黄瀬
「えぇ!? そうだったんすか?」
『うん。あれ、言ってなかったけ?』
黄瀬
「聞いてないっスよー!」
涼太は「何で言ってくれなかったんスか!」と犬みたいにわんわん言っている。
『あれー? 征君には言った筈なんだけどなー?』
黄瀬
「また、〝征君〟っスか…」
涼太の声が、少し悲しいような、悔しいように聞こえた。
『涼太? どうしたの?』
涼太
「っち、俺じゃ頼りないっスか?」