第6章 黒猫の正体
トーマも腰に下げていた剣を抜く。
「もう二度と化け猫を使いになんてしないよ」
ミハエルの心臓に刃を向ける。
「当たるかよ」
ミハエルはよけ、瞬時にトーマの背後にいた。
「俺ももう二度と主に吸血鬼を選びませんよ」
ナイフがトーマに刺さった。
「トーマ!」
私は叫んでいた。
「った……」
トーマは体からナイフを抜き、
自らが持っていた剣をミハエルの心臓に、
今度こそ突き刺した。
「ぐはっ……なぜ…」
「はっ、答える義理はねぇ」
ミハエルが徐々に灰になっていき、消えた。
残っていたのは猫の骨と灰だった。
「猫……?」
「化け猫は元々普通の猫だったんだ、
それが長生きし過ぎたとかは理由はいろいろだけど
化け猫になる。ミハエルも…
そのうちの一匹だった。昔はただの猫だったんだ」
答えたトーマの目はもう赤くなかった。