第1章 とある少女のお話
「花園真理。今すぐ死者の都へ向かうよう。」
ある日、なんの前触れもなく、王から派遣された騎士に
真理は、そう告げられ、“死者の都”へ行くことになりました。
死者の都とは、この世界に存在するかさえも分からない、
幻の都で、噂では、死んだものしか行けない都と言われている場所で
王家が気に入らないものはそこへ行けと言われ、
あるかどうかさえ分からない場所に行かされるのです。
遠回しに、死刑を宣告されたようなものなのです。
「マリ、絶対にそんな都は存在しないわ…生きて帰ってこれます。」
「マリ!俺たちいつまでも待ってるからな!」
真理は村人たちに別れを告げ、
死者の都があるとされる、“北の暗黙の森”へと歩き始めました。