ときめきメモリアルGirl's Side【佐伯瑛】
第1章 珊瑚礁ブレンド味
.
嬉しい返答に顔が緩んでそうで、背を向けたまま手を差し出す。
「うっ、うん」
繋がった二人の手。
「あのさ…夏海」
「何?」
「これかは佐伯くんって呼ぶの禁止な?」
「何で?」
何でって、解れよ、それくらい。
他の女子と同じに呼んで欲しくないからだろ?
あぁ、もう!
「何でって…、何でも!」
「う、うん。なんか特別みたいでいいね」
特別みたいじゃないだろ?
本当に特別なんだ、お前は。
あぁ、もう、バカ!
気付けよ、それくらい。
どこまでもボンヤリなお前の手を引いて扉に手を掛ける。
ここを出たら、また俺は優等生に戻らなきゃならない。
「夏海…好きだよ」
だから言ったんだ。
小さい声で、聞こえないように。
なのに、お前は繋いだ手をギュッと握り返した。
小さくて潰れそうなお前の手が、なんだか凄く嬉しかった。
-----☆★☆-----
閲覧有難うございます。
またお目にかかれましたら幸いです。
2014.11.13